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桜川市議会令和5年度第2回定例会 議会報告
第2回定例会(6且13日~19日)の議案や議会審議の様子などを織り交ぜて報告します。
私の質問は、次の5点。
⒈ 太陽光発電施設〜西山地区の山肌傾斜と雨水処理について
⒉ 水道管排水施設〜漏水箇所の発見について
⒊ 公共交通〜高齢者の“足”の確保について
⒋ 防災対策〜男女共同参画の体制づくりについて
⒌ 岩瀬の公民館・図書館〜指定管理者選考について
以上ですが、どのような議論があったのでしょうか。
■太陽光発電施設について・・市は届出書類の内容を理解し確認しているのでしょうか
太陽光施設は、市内に800か所以上設置されていますが、施設の管理台帳がないなど、第4号で課題を指摘しました。今回は、私が住む本木の羽田山南東斜面に建設が進んでいますので、市から情報公開制度で資料を取り寄せ、一般質問をしましたのでお知らせします。岩瀬から「りんりん道路」で本木に来ると、樹木が伐採され山肌が見えるところです。
雨水処理の方法や計算が間違っている
山肌の傾斜は10%ですので、山肌や太陽光パネルから流出する雨水対策が最重な課題です。事業者は、最下部に長い堀状の素掘りのため池(容量493㎥)をつくる、降雨強度54ミリ/時間(水戸気象台、10年に1度程度)の雨にも耐えられると、計算し届け出ています。 問題の第一は、素掘りのため池です。ここに貯留し浸透させます。「直ぐには浸透しない、直ぐに浸透するようならば、下の畑や田んぼが危ない」というのは、農家の経験的な知識です。茨城県の都市計画法技術基準でも、1ha未満の開発の場合、「調整池はつくらなくともよい。ただし、流末は、必ず、水路等の公共水域に接続すること」としています。 第二は、届け出でた素掘りため池の容量について、計算ミスをしています。逆台形の長い堀状ですが、単位を長さ74mとすべきところを、上部の面積157㎡としています。この結果、容量493㎥は233㎥となり、雨水流出量457㎥/時に対して224㎥の不足です。担当課は「事前に分かっており事業者に指摘したが問題ないという回答だった」そうです。私の疑問の指摘後に、変更届出書を出させています。 第三は、桜川市内の雨量は、100ミリを超える事例が、年に1度程度はあり、最近の30年では、令和元年の台風19号の302ミリです。先日の6月2、3日の雨も143ミリです。
市議会での答弁は
私の「素掘りため池は危険なので、水路に流すよう指導してほしい」という質問に対して、担当部長は「時間最大強度54ミリは、降雨量190ミリに当たるので安全である。被害が出れば、市も責任を負う」と答弁しています。ため池の雨水浸透量は、事業者の資料でも3.2㎥/時しかないので、降雨量60ミリであふれ出す計算ですが。 雨水処理の方法として、「素掘りのため池を認めていること」、「降雨量を24時間ではなく、時間当たりの最大強度としていること」、「計算式の誤りを事前に修正できないこと」など、事業者の言いなりで、茨城県の技術基準すら学ぶ姿勢が感じられないのは残念です。
■水道問題・・配水管の更新は暗闇の中です
令和4年度の有収率は64.2%(岩瀬57.8%、真壁67.7%。大和91.8%)、3年度は63.7%です。35.8%が漏水しお金にならず、土中に流れています。衛星による漏水箇所の発見や「水道ビジョン」による配水管更新計画を期待したのですが、がっかりです。衛星も宅地内の給水管など、浅いところの漏水は見つかるのでしょうが、より深い配水管は無理なようです。何よりも、岩瀬地区の簡易水道時代の配水管150㎞は、図面もありません。まずは、老朽配水管を数本、2~3㎞を試掘し知見を得ること、外部の水道専門家にアドバイスを求めることを提案しました。このままでは、暗闇でもがいているだけですから。 市長にも、昨秋の市議会では、「職員を増やす、10億円の予算をつける」と答弁しましたので真剣な取り組みを質問しましたが、なしのつぶてです。
水道問題についての陳情がありました
岩瀬・富谷の方から「合併特例債を水道施設更新に活用しないために、高額な水道料金を負担し続け、将来は、漏水対策に多額な財政負担を強いられる桜川市政の検証と市民への公表・説明を求める」陳情が出ました。私は賛成しましたが、「水道ビジョン」が出たばかりで時期尚早と、不採択になりました。各議員は、「市民から水道ビジョンや漏水問題について説明してほしい」という要望がないのだから、進んで行う必要はないと考えています。陳情者のように、市に強く要望する(できれば文書で)声が高まらないと、漏水問題や配水管更新は進まないと実感した次第です。
■公共交通について・・見直しを求めます
デマンドタクシーやヤマザクラミニが廃止され、10月からは、75歳以上の高齢者等に、「500円券、24枚」のタクシーチケット券が配布されます。デマンドタクシーを沢山利用される方は、利用者の10%程度、30~40人ですが、公共交通、市民の足の基本的な問題ですので、昨年1月に出された「地域交通計画」は評価しながらも、疑問点を質しました。
- 高齢者の足の便は、「通院と買い物」に限定し、文化活動や様々な余暇活動を視野に入れていない。公共交通は、憲法11条の基本的人権や25条の幸福追求権の担保であると考える。
- タクシーへの切り替えは賛成であるが、登録制、適正な受益者負担で利用制限なし、隣接市までの利用可、悪用、乱用防止という視点での見直しを提案しました。他の議員からの意見もありましたが、まずは、10月からタクシーチケットでスタートし、実積や市民の意見を聞いて検証した後に、再検討する意向のようです。
近くに親族のいる方、健康状態など、一人ひとりの条件が異なりますが、誰もが、適正な受益者負担で遠慮なく利用できる市民の足となるよう、提案していきます。
■防災対策について
桜川(水戸線南側)の浸水予想図が、県から公表され、桜川市も「ハザードマップ」を、真壁、大和地区の各家庭に配布しました。岩瀬地区は令和7年度までに県が浸水予想図をつくり、その後、市がハザードマップの作成となります。今回、難聴者への戸別受信機の貸与、地域の防災体制づくりに当たっての男女双方の視点の具体的な成果、東海第二原発の避難計画での那珂市からの受け入れ体制について質問しました。
- 難聴者については、放送の聴こえ方など、個別に相談してほしいとの答弁です。
- 避難所については、女性の区長さんを講師としたリーダー研修を実施していること、学校区の避難所運営家員会は女性の割合が必ずしも高くないので、今後、訓練の中でアドバイスをしていくとのことです。
- 東海第二については、県や那珂市の依頼を待って対応すること、避難者一人当たりのスペースが2から3㎡に変更されたことによる新たな計画は、今後作成するとのことです。
■公民館、図書館の指定管理者選考に向けての条例・・答弁もなく議決
現在、旧岩瀬公民館跡に建設が始まっています。開館は来年の11月の予定です。昨年8月23日に社会教育委員会から、「指定管理者の導入が望ましいように読める」答申が出ています。今回、指定管理者導入の準備を行うために「生涯学習センターの設置及び管理等に関する条例」及び「図書館条例」が提案されました。
昨年11月の市議会でも、「笠間図書館が優れた図書館として表彰されており、これをモデルに準備すべきだ。営利企業による指定管理者導入は反対である」旨の質問をしました。
今回9項目の質問をしましたが、主なものは次のとおりです。
- 「利用の不許可」として、「公の秩序を乱し、又は善良な風俗を害するおそれ」とあるが、民間の指定管理者が、何を基準に判断するのか。・・恣意的、政治的運用のおそれ
- みなし公務員制度の適用は考えないのか。・・図書購入での不正や利用者の差別防止
- レファレンスサービスの大切さ・・貸出数ファーストでは地域文化は育たない
- 直営の真壁伝承館との違いの理由は何か
答弁なしの採決でよいのでしょうか
各議員からは、「現在、職員で司書職は何人いるか」、「事前通告もなく、当局は質問に答えられるはずがない」などの質問、意見が出ました。①から④が事前に準備しなければ、答えられない質問なのでしょうか。昨年から半年も準備してきたはずですが。 私は、三点の理由で反対討論をしました。
- 営利企業では、貸出し数は増えても、市民の文化は育たない。地域の文化に詳しい経験ある司書職は育たない
- 経費の節減にならない。最初の5年間は割引価格でも、更新時には競争相手がいなくなり、必ず割引分を上乗せした価格となる
- 地域に潜在する司書資格ある方も、パートや非常勤採用であり、ノウハウを身につけることはできない
賛成討論の議員は、「指定管理方式とは決めていない、運営方式の幅を広める条例であり賛成」と述べましたが、6月8日の全員協議会での説明資料には、
①8~9月頃指定管理候補者公募、12月市議会で議案上程、議決と書かれ、説明を受けていますが。
桜川市の数少ない文化施設、大切に育てなければなりません。皆さんのご意見はいかがでしょうか。
■補正予算議案について・・国交付金の一部しか市民のために使わない予算には反対
国の新型コロナ対策地方創生交付金2億7千万円を使う補正予算ですが、今回も市の内部に4千2百万円をため込む予算であり、反対しました。主な事業は次のとおりです。
- 低所得世帯支援給付金事業(住民税非課税世帯 3万円/世帯)
- 地域応援チケット事業(2000円の買物等券/人)
- 揚水機場の電気代の支援(概ね570円/10アール、昨年は1190円)
学校給食費は財源だけを国費に入れ換える
学校給食費は、第2子以降は免除になっており、この財源は市費ですが、今回の補正予算では、この市費を国費に入れ換え、市の内部に貯めるとしています。私は、従来から学校給食費の無償化を言っており、約4千万円で9月からは無償化できますので、何故、無償化しないのかと質問するとともに反対討論をしました。手元に、日本共産党県議団の「学校給食無料を広げよう」というチラシがありましたので、これを参考に水戸市や日立市の無償化を紹介しながら主張しました。反対は榎戸議員と二人だけでした。
反対多数となれば、予算案の修正動議で無償化の途が開かれたかもしれず、残念なことです。令和4年度決算速報でも13億円の剰余金が出ています。お金がありながら市民のためには使わず、内部にため込む桜川市政には怒りを感じます。皆さんはいかがでしょうか。
以上です。近々に発行する「かわまた隆の活動報告〜もっと咲け桜川市と市民自治」でさらに報告します。