アーカイブ
市議会常任委員会視察報告
市議会・建設経済常任委員会(の一員)として、視察に行きましたので、市民の皆さんに参考になるところ、議員活動で見習うべきところなど、感想を織り交ぜながら報告します。あくまでも議員個人の報告であることをご理解ください。
■日程など
- 6月21日~23日 2泊3日
- 場所 ・北海道北広島市及びFビレッジ ・美瑛町(株)熊谷ファーム(四季色の丘)・沼田町役場
- 参加者 ・建設経済常任委員会議員 5人 随行者5人
- ルートなど ・茨城空港~新千歳空港往復 ・現地はマイクロバス ・宿泊:札幌、旭川
■北広島市、Fビレッジ
- 概要
- 札幌と千歳の中間地 ・人口57千人 ・面積119㎢ ・明治17年に広島県から25戸の団体移住
- 札幌の郊外であるが、とくに特色がない丘陵地が広がる街(議長談)
- 今春からの日本ハムファイターズの球場(Fビレッジ)で全国に知られる。
- Fビレッジ建設費:約600億円(日本ハム)
- 北広島市の関連投資額:約200~230億円
- 今後の新駅投資額(いわゆる請願駅)約110~115億円
- 道営住宅団地や3つの工業団地、工業団地の立地企業は道内企業のサプライヤー(全国大手はわずか)で1企業当たりの敷地面積は小さい。
- 議員数22人(市民ネットワーク北海道2人) 最年少26歳 平成23年から本会議のインターネット中継開始
- 市議会
- 市議会開催中ですが、島崎圭介議長からあいさつと市政紹介を頂きました。
- 読み原稿なしのあいさつ、説明、紹介が印象的です。
- 市長は北海学園大学野球部の先輩、本人も元野球部監督とのこと、これが日本ハム誘致に繋がるのは象徴的です。
- Fビレッジ(北海道ボールパークFビレッジ)の誘致成功の要因 私の仕事の経験から、私なりに推測した要因を整理します。
- 立地・・200万人大都市の札幌に近接し、新千歳空港にも近いこと(立地は外部要因であり、大規模国家プロジェクトがないと作り出すことは不可能)
- 用地・・昭和47年(1972年)から総合運動公園用地(32ha)を持っていたこと・・財源の目途が立たず事業化できず、冬の雪捨て場として利用
- 時機(チャンス)・・この場合は、プロ野球球団が借物球場では利益が出ない。自前球場を持つことによる多角的な利益追求型にビジネスモデルが変化したこと
- 人と情報・・この場合、北海学園野球部の経歴を持つ野球人がトップあったこと、平成14年(2002年)に室内練習場誘致で日ハムとの接点を持ち、その後も継続していること(重要な誘致情報は企業、政府機関の一部幹部のトップシークレット、ある特定人に付いて回る情報である。)
- 迅速な対応など、組織の柔軟性・・この場合は平成28年5月日ハムの新球場構想報道、同6月市長が議会で報告、というように水面下での調整と信頼関係は出来上がっていたのでしょう。(企業は時間のコスト、地方自治体は市民の信頼コスト<説明責任>がポイント)
- 北海道ボールパークFビレッジの感想
- 球場名は、「エスコン・フィル―ド」で、日本エスコン(不動産会社、中部電力連結子会社)への命名権売却です。その他、入場口など命名権を売却し、「涙ぐましい」営業努力をしています。
- 観客とフィル―ドが近くなっています(神宮の国立競技場も同じ)。スポーツ施設の設計思想が観客目線に変わり、同時に鋼材の強度も格段に良くなったのでしょう。
- (試合がない限り)外野は自由入場です。車いすの高齢者など障碍のある方を沢山目にしました。いろんな方が外野から練習を楽しんでいました(多くがユニバーサルデザインです)。野球やスポーツ観戦が、障害が少なく、誰にでも楽しめるように転換するよいモデルになることを期待します。
- 北広島市は多額の投資をしていますが、財政力指数0.65(桜川市0.49)、経常収支比率95.4%(桜川市80.9%)、地方債残高306億円<一人当たり54万円>(桜川市200億円、一人当たり53万円)と、財政的には健全です。ボールパーク事業を北海道庁の基幹プロジェクトとなるような仕掛け(災害対策拠点)や、北海道開発庁の高い国補助率をうまく活用しているようです。
■沼田町
- 概要
- 旭川から北に車で約1時間 ・人口2900人 ・面積283㎢ ・明治27年富山県人「沼田喜三郎」により開拓
- 昭和40年前半までは炭鉱町であったが、廃鉱になり、現在は稲作、花き、トマト等の農業中心、1経営体当たり農地面積約25ha
- 小峯 聡議長からあいさつ、説明があり(読み原稿なし)、その後、担当課(者)より、「有害鳥獣対策」、「新規就農対策」についての、詳細な説明を頂きました。
- 有害鳥獣対策は、有害鳥獣対策を任務とした地域おこし協力隊3年を経て、沼田町役場に勤めている早瀬拓也さん(30歳)から、エゾシカ、アライグマの対策について、詳細な説明を受けました。長距離無線捕獲パトロールシステム(ほかパト)ですが、広域的な捕獲体制づくりは、将来、参考になるでしょう。なお、捕獲頭数は、2020年にエゾシカ153頭、アライグマ157頭です。
- 新規就農対策 「ぬまたアグリファーム(2021年4月設立)」を中心にした新規就農対策に力を入れています。
- 新規就農希望者
- 独立・自営就農希望者・・1年に1組(夫婦2名)、対象作物:花き、加工用トマトなど、当面は花きのようです。
- 就農準備研修(2年間、連携農場や就農支援実習農場で、研修手当あり)
- 独立、自営就農(最長5年間の支援、就農予定農地の確保)
- 地域おこし協力隊員(農業支援員)・・別途最大5か月の農業研修生あり
- 研修期間3年・・連携農場(受入希望農家)で
- その後、農業法人に雇用就農(構成員又は従業員)
- 沼田町は、地域おこし協力隊について、「有害鳥獣捕獲員」、「農業支援員」ともに、その後の就労(働き方)を明確にして、町も責任も自覚しています。得難い人材の確保という相互の共通認識が基礎にあるようです。
※研修から就農までの一貫支援、離農跡地、法人所有地の賃貸購入も支援。花きや加工用トマトなど、新しい産地創出・拡大と初期就農経費の制約に配慮して新規就農分野を選んでいるようです。頂いた「みんなの議会」をみると、農産加工場の「加工用トマト裏ごし機械1540万円」の補正予算があり、新機種への更新、産地拡大に力を入れていることが分かります。
※これは、第三者継承、雇用就農とされており、水稲畑作全般、施設園芸です。従業員等として経営に参画し、時機を見て、農業経営者になる形態のようです。水稲等の新規参入には数千万円~億単位の経費が必要でしょう。新しい試みのようです。